五泉塩瀬絽濃墨色地名古屋帯*天鼓(未仕立)

五泉塩瀬絽濃墨色地名古屋帯*天鼓(未仕立)
参考作品

商品詳細

夏の定番、上質な五泉塩瀬絽に、伝統的な御所解文様の表現技法で、 『天鼓』 を染めました。

 

御所解は、もとは江戸時代の奥女中の制服でもあった御所風の風景文様。

そこにさまざまなアイテムを取り入れて、物語や詩歌、謡曲などを暗示して楽しまれたりもしたそうです。

御所解の醍醐味は、糸目糊によって染め残された白い線。

昔ながらのもち米糊による糸目の線は、わずかに滲み、揺らぎ、、深みのある印象を与えます。

 

前は、関東側には松や青紅葉を、関西側には月を染めました。

 

 『天鼓』 

天鼓と名付けられた、不思議な少年。

少年が生まれた時、天から鼓が降ってきたのでした。

天鼓少年は、その鼓を見事に打ち鳴らしながら、ともに育ちました。

やがてその評判を聞いた帝が鼓を差し出すように命じ、拒んだ天鼓少年は、呂水の江に沈められてしまいます。

しかし、残った鼓は誰が打っても音を発しません。

帝は、息子を失って嘆き悲しんでいる老父を呼び、鼓を打つように命じました。

愛しいわが子を想いながら老父が鼓を打つと、この世のものとは思われぬ美しい音が鳴り響くのでした。

この奇跡をあはれと思った帝は、呂水のほとりで天鼓少年の供養をとり行いました。

すると天鼓の霊が現れ、懐かしい鼓を楽しげに打ち鳴らし、喜びの舞に興じるのでした。

その姿は、この世の情念からかけ離れた精霊のように、無邪気で、自由で、神秘的でした。

そして空も白む頃、夢か幻のように消えていったのでした。

 

月にうそむき 水にたわむれ

波をうがち 袖を返すや

夜遊びの舞楽も時去りて

またうち寄りて現夢か

またうち寄りて現夢か

幻とこそなりにけれ

 

 

【生地】 五泉塩瀬絽帯地

夏の名古屋帯の定番、五泉塩瀬絽。

しなやかでいてしっかりとした、上質な帯用生地です。

 

【地色】 濃墨色、チャコールグレー

深みのある濃いグレーです。

黒に近い感覚で合わせやすく、黒よりも情緒的で柔らかな印象です。